| 小入谷越を出発したのは11時10分。イワカガミの若葉がつやつや輝き、いたるところに白色半透明の腐生植物であるギンリョウソウが咲き乱れる中、気持ち良い尾根道の百里新道を登ってゆく。所々に初めて見る青みがかったギンリョウソウの株があり見とれる。ヘビやトカゲなどの小動物もよく見かける。一度ヘビを踏んづけてしまった。ゴメンナサイ。立ち止まると野鳥のさえずりが聞こえた。ザックに熊よけの鈴をつけていたため、歩いていると鳥の声も風の音も聞こえなかったのだ。鈴を取り外しそれらの音に耳を傾けながらさらに尾根道を快適に進む。近若国境尾根からの道と合流すると徐々にブナの木が見られるようになる。やはりブナ林は心が落ち着き最高に気持ちが良い。登山道はブナ林の中を直登する。直登道は登山者が踏み削るため荒れはじめ、まだ初期の段階だが腐葉土層が流出し地肌が露出してきている。このままだとさらに雨水が登山道を削りブナ林にダメージを与えかねない。迂回ルートもしくはジグザクに道を付け替えるなど、これ以上の土壌流出崩壊を食い止める方策を考えてもらいたいところである。山頂に着いたのは12時40分。急ぎもしていないが登山マップのコースタイムの約半分の時間でやって来た。山頂からの展望は余りよくないが木に登ると日本海などが見えるらしい。昼食を食べ家内は木のスケッチ、私は写真撮影を楽しむ。帰路は近若国境尾根を経由して旧サバ街道の一番目の峠である根来坂峠方面に向かった。峠では素晴らしいブナの巨木が出迎えてくれた。この街道の歴史を見続けてきた老木だ。峠で仲間が山頂に向かったのを一人待っている女性としばらく話をし、わたしたちは朽木方面に下ってゆく。こちらの道は真新しい林道と交錯するルートで植林帯が多く、登山道も雨水によって削られ滑りやすい土壌が露出した歩きにくいルートだった。大倉谷に下り立ちコモンバの滝へ寄り道する。林道を20分さかのぼり、先週の長雨により水量が豊富になった滝を見る。新緑と滝の素晴らしいハーモニーを楽しみ、元来た林道を引き返えす。最後は小入谷集落から旧峠道をひと登りして午後5時過ぎに小入谷越に戻ってきた。午後はにわか雨か雷雨の予報であったが、登山中は程よく曇り直射日光もなく快適だった。 |